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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第18章 【ナミダ・ナミダ・ナミダ】


「う~ん……」
「これは……なんとも言えないな」
「だけどハグリッド、バックビーク悪いヒッポグリフじゃないって言っていたじゃないか。悪いのはバックビークを罵ったマルフォイなんだし。絶対無罪放免だよ!」
「お前ぇさんは、『危険生物処理委員会』ってとこがどんな連中か知らねぇんだ!連中は面白れぇ生き物を目の敵にしてる!!」

 ハグリッドは叫んだ。そしてテーブルクロスほどもあるハンカチで豪快に鼻をかんだ。その音に紛れ、突然バキッという音が聞こえた。4人はぎょっとして音のした方に目をやると、部屋の隅にあるベッドの上に、バックビークが寝そべりながら何か動物の骨の様な物をバリバリと食べていた。
 ハーマイオニーがその様子を見ながら恐る恐る訊ねた。

「ハグリッド……バックビークを外につないでおけないの?」
「そんな可哀相な事、俺には出来ねぇ。折角のクリスマスだって言うのに!!」

 またこれか、と4人は頭を抱えた。ハグリッドが「面白い」と言う生き物と、皆が言う「恐ろしい」と言う生き物は殆どが一致する。1年生のドラゴンの卵を孵した時もそうだった。
 しかし友人であるハグリッドがこんなに悲しんでいるのに、自分たちは何もできずただ指をくわえて見ているしかないと言うのも嫌だった。ハグリッドの為に、自分達でも出来る事は無いか必死に頭を巡らせた。

「――よし!ハグリッド、私はおじ様に手紙を書いて理事会の決定を覆す様に頼んでみるよ。皆は過去の資料を調べて、ヒッポグリフが危険ではないことを証明するんだ」
「……何だか、今日のクリスは人が違うみたいだ」
「うん。なんて言うか……頼もしい。クリスマスの奇跡?」
「それはいったいどういう意味だ?」

 クリスが独特の赤い眼で鋭い視線を投げかけると、ハリーとロンはサッと視線をそらした。ハーマイオニーも覚悟を決めた様に、ぎゅっとハグリッドの大きな腕に力を込めた。
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