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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第16章 【隠されていた真実】


「分かっただろう、ロスメルタ。ブラックは魔法警察部隊が20人がかりで連行し、ペディグリューには勲一等マーリン勲章を授与された。それだけが唯一残された母上へのせめてもの慰めだっただあろう。それ以来、ブラックはずっとアズカバンに収容されていた」
「でも、ブラックは脱獄不可能と言われたアズカバンを抜け出しましたわ」
「それなんだよ……普通、あそこに収容された人間は大抵が正気を無くし、ブツブツと独り言を言っている。しかし、ブラックがまだ脱獄する前、私はあそこに行って奴と合ってきた。そこで驚いたのは、奴がまだ“正常を保っている”と言う事なんだ。ディメンターに囲まれても、生気を失わず私と筋の通った話をする。それだけじゃない、なんと暇つぶしに、読み終わった新聞をくれと私に言ったんだ。退屈そうに「クロスワード・パズル」が懐かしいと言うんだ……全く、あいつには驚かされたよ」
「それなら、ブラックは何の為に脱獄したとお考えですの?まさかまた『例のあの人』と手を組むつもりっでは――!!」
「我々は――あー、それがブラックの最終的な企てだと考えている」

 ファッジは声をひそめながらそう言った。

「しかし魔法省も手を尽くしている。間もなくブラックも逮捕されるであろう。『例のあの人』に接触出来なければそれで良し。しかし、忠実な部下が戻り、『例のあの人』が……もし復活したとなると……」

 それを聞いただけで、クリスは身の毛もよだつ様な思いがした。こっそり左手首の痣を確認すると、痣はいつもと同じぼやけたままだ。誰にも悟られぬよう、クリスはホッと息を吐いた。

「大臣、校長とお食事をなさるおつもりなら、そろそろ城に戻られた方が良いですよ」

 マクゴナガル先生の声に従い、1人、また1人と先生方がドアを開け、吹雪の中へ消えていった。クリス達はそーっとテーブルの下を覗いてみた。するとハリーは震えながら、青ざめた顔で虚空を見つめていた。
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