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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第16章 【隠されていた真実】


「でも、逃げられなかったわけでしょう?次の日には魔法省が追い詰めたわ」
「……追い詰めたのが魔法省なら良かったんですが……」
「奴を見つけたのは、ピーター・ペディグリューだった」
「ピーターって、たしか……」

 マダ・ロスメルタが、記憶を手繰り寄せるように視線を上げた。それからやっと思い出したのか、大きく目を見開いた。

「そうだわ、たしかジェームズとシリウスにいつもくっついていたチビの――」
「ああ、そうだとも。ポッター夫妻の友人の1人だったが、目立たず、これといって才能も無く、ジェームズとブラックに憧れ、いつも2人の後を追っていた」
「悲しみで我を忘れていたんだろうな、ブラックを追い詰めると、泣きながら『ジェームズとリリーを!シリウス、よくも2人を!!』そう言ってブラックに襲い掛かった」
「しかし、ブラックが杖を出す方が早かった。結果、ピーターは木っ端みじんにされ、残された破片と言えば、一番大きくても指だけでした」

 マクゴナガル先生は、涙声になりながら、チンと鼻をかんだ。衝撃の事実に、ロンも、クリスも、ハーマイオニーも、そして勿論ハリーも、一言も聞き漏らさんと耳を澄ました。

「馬鹿な子……自分の力不足も知らないで……どうしようもなく決闘が下手な子でした……魔法省にすべて任せればよかったのに……」
「本当に残念だ。私は当時、魔法惨事部の次官だったが、あんな光景を目の当たりにして、暫く夢に出てきてはうなされたよ。正に人間のした事とは思えなかった――道の真ん中に、深く抉られたクレーター。その中心では下水管に亀裂が入り、奴の足元には水溜りと死体が転がっていた。目撃したマグル達は混乱で悲鳴をあげ、その中心で、奴は仁王立ちをして笑っていたよ。全く、正気の沙汰とは思えなかった」

 ファッジはそこでいったん言葉を切った。先生方の座っているカウンター席に沈黙がはしる。一方、クリス達のテーブルでも同じく沈黙が辺りを包んでいた。
 それからどれ程経っただろう、ファッジがまた口を開いた。
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