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ハリー・ポッターと恋に落ちた道化師

第12章 【ハロウィーンの恐怖】


「消灯時間だ!!」

 パーシーが叫ぶ声が聞こえ、明かりが消えると、みんな口をつぐんで話すのを止めた。しかしクリスもハリーもロンもハーマイオニーも、目が冴えて眠る事など出来なかった。
 いったい何度目の寝返りを打ったことだろう。真夜中にダンブルドアが大広間に戻ってきて、パーシーに様子を聞いていた。

「皆の様子はどうじゃ?」
「異常ありません、校長先生。それで、何か手掛かりは?」
「いや、何もない……。生徒達に怪我が無かっただけが幸いじゃ。可哀相な『太った婦人』は3階のアーガイルシャーの地図の絵に隠れておった。合言葉を言わなかったブラックを通すのを拒んだ結果、襲われたらしい。婦人はまだ気が動転しておるが、落ち着いたら修復させるつもりじゃ」

 その時、大広間の扉が開いて、足早にダンブルドアの元にかけてくる足音が聞こえた。

「校長、天文台からフィルチの地下室までくまなく探したが、ブラックの姿はありませんでした」
「ご苦労だったセブルス。わしもいつまでもブラックがこの城に残っているとは思えん」

 それからスネイプは、校長先生にしか聞こえないように小さな声で呟き始めた。それをこ聞こうと、4人は声を殺して必死に耳をそばだてた。

「……校長、奴が……やって入り込んだか……でしょうか?」
「勿論じゃ、だが……とは、思えん」
「しかし、ブラックは……に城内に……」
「……それは儂にも分からん。だが……だろう」
「校長、一学期が……覚えておいでですか?その時……」
「うむ……しかし……」
「内部の……無しに城内に入るのは……校長が任命した……」
「この城の内部の者が……と、儂は考えておらん。なので……とブラックの関係は無いと断言しよう」

 話はそれで打ち切りだった。ダンブルドアは引き続きパーシーに指揮を任せると、大広間を出ていってしまった。スネイプはしばらくその場に佇んでいたが、やがて諦めた様に大広間を出ていっった。

「何の事だったか分かる?」

 ハリーの問いかけに、パーシーや先生方にばれない様、ロン、クリス、ハーマイオニーの3人はそろって小さく首を横に振った。

 脱獄不可能と言われたアズカバンを脱獄し、尚且つ侵入不可能と言われたホグワーツに侵入した男、シリウス・ブラック。その男の正体は――未だ黒い闇の中だった。
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