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【YOI】輝ける銀盤にサムライは歌う【男主&ユーリ】

第4章 エピローグ


「くぅ~、アレクくん、ばりカッコよか~!」
同じ日本人選手でも特に仲の良い礼之の晴れ姿を、南は嬉々として眺めていた。
「おいも負けてられんばい!特にフィナーレん時はアレクくんと隣同士やし、先輩としてエスコートせんと!」
ふんすと鼻を鳴らすと、礼之の後に出番を控えていた南は、舞台袖へと移動する。
するとその時、背後から軽く肩を叩かれた南は、振り返った視線の先にいた人物に、目を丸くさせた。

滞りなくすべてのプログラムが終了し、EXに出場したスケーター全員によるフィナーレが始まった。
今大会のシングル金メダリストの勇利と、イタリアのサーラ・クリスピーノが手を繋ぎながらリンクの中央に進むと、少し遅れて舞台袖から続々と他のスケーター達も登場する。
スタッフの合図で礼之もリンクに進むと、横一列の形を作る為に隣のスケーターに向かって手を伸ばした。
リハーサルでは礼之は一番端で、左隣の南と手を繋いでいたのだが、
「…えっ!?」
手を引き寄せられた礼之は、明らかに南とは異なる背丈と腕の長さに視線を向けると、隣人の正体に無防備な声を上げた。
「離すんじゃねぇぞ。リンクの上ではみっともねぇ真似すんなって、サユリにも言われてるだろ」
あまりの事に離れかかった礼之の手を強引に戻しながら、隣のユーリが凄んできた。
はじめは訳が判らないでいた礼之だが、半ば握り締めるように繋がれたユーリの手が、明らかにいつもより熱を帯び微かに震えているのを覚えると、やがて己の左指をゆっくりと動かしながら、ユーリの指の隙間に潜り込ませる。
「ぁ…?」
驚愕に目を見開くユーリに、礼之はボソリと言葉を呟く。
「後で、君とちゃんと話がしたい。バンケで…」
「…」
「…いいかな?」
うっすらと頬を染めながらも、真剣な眼差しを向けてきた礼之に、思わずユーリも頬が上気するのを覚えたが、
「…おぅ」
努めてぶっきら棒に返事をしつつも、いつしか繋がれた礼之の手に、ユーリはそっと自分の指を絡ませていた。


─NEXT TO『IN BANQUET(君と、お前と、バンケで。)』─
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