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【YOI】輝ける銀盤にサムライは歌う【男主&ユーリ】

第4章 エピローグ


男子シングルのEXは勇利とクリス、3位のオタベックが腰痛の為に出場を辞退したので、4位のユーリと5位のエミルに加えて、6位だったイ・スンギルが繰り上げ選出されていた。
8位入賞の南は開催国選手、そして7位の礼之は特別招待選手として、堂々のEX参加となった。
練習中、小道具のステッキを折ってしまった礼之は、たまたま近くにいたクリスに補修、ついでに効果的な小道具の扱いについてレクチャーして貰っていたのだが、
「ひあああっ!?」
「うーん、勇利や純とは又違った瑞々しさと、この初々しい反応が…あいたっ!」
「未来ある若者を、無駄に濃ゆい世界に引きずり込もうとするな」
礼之を抱き寄せ、更に彼の尻を戯れに撫で回していたクリスは、間もなく後頭部に何かが当たるのを覚えたと同時に、こめかみに青筋を立てた純の指が痛点に食い込み、悲鳴を上げた。

「あのエロジジイ2号が油断も隙もねぇ…って、何やってんだよ?」
「…気にするな」
礼之達の死角から空のペットボトルをクリスに投げつけたユーリは、眉を物騒な角度に逆立てながら唸っていたが、自分の後ろでEX練習を見学していた筈のオタベックが、何かを振りかぶっている様子を見て、訝しげに尋ねた。
ユーリの声に我に返ったオタベックは、何事もなかったように中身の入ったペットボトルを下ろすと、曲かけ練習の後で動きを確認する礼之に視線を移す。
「本当に、真っ直ぐなスケートをする奴だ。見ているだけのこちらも楽しくなってくる」
「…そうだな」
今季のEX『踊るリッツの夜』は、フレッド・アステアにリスペクトとシンパシーを覚える礼之の当たりプロとして、国内外で高評価を得ていた。
「確か、GPSの1試合だけ違うEXも披露していたそうだが、そちらはやらないのだろうか?」
「あれは、日本大会の時だけの特別だったんだよ」
「詳しいな」
「…本人がそう言ってたからな」
「ほぉ…」
些か歯切れ悪そうに答えた後で頬を染めるユーリを、オタベックは内心興味深そうに眺めた。
「そろそろお前から『サムライ』に、何かモーションをかけてやってはどうだ?」
「え…でも、」
瞬間、試合前の礼之の態度を思い出したユーリは、表情を曇らせた。
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