第13章 学生の本業
時は流れ6月最終週、期末テストまで残すところ1週間を切っていた。中間の成績ではまずまずだったけど、行事が重なったこともあり正直あまり勉強できていない。みんなに頼られている成績トップの百ちゃんが、いつもよりプリプリしていてなんだか可愛い。
「この人徳の差よ」
「俺もあるわ。てめぇ教え殺したろか」
「おお!頼む!」
『勝己』
「あ?」
『教え殺されるのはヤだけど、私も教えてもらっていいかな?』
「…おう」
『ありがとう~!』
断られるかも、と思っていたのでその返事を聞いて安心する。お礼を言うと、ケッと言って目をそらされてしまった。もしかして本当は嫌なんだろうか。
勝己に指定された日時に、待ち合わせの場所へ現地集合する。休日のファミレスは案の定混み合っていた。店員さんに声をかけられそうになった時、奥の席から私を呼ぶ声が聞こえた。
「お~!こっちこっち!!」
手を振る切島くんのところへいくと、既に勝己も来ていて2人とも向き合うように座っている。どうやら私が1番最後らしい。
「遅せぇ」
『ごめん、ごめん』
「まあまあいいじゃねえか」
学校以外で切島くんと会うのは初めてだ。お互い私服だと少し新鮮な感じがする。ニコニコと笑う切島くんの隣に座ろうとすると、いきなり勝己が怒り出した。
「なんでそっち座んだよ!こっちだこっち!!」
「別によくね?」
『切島くんの隣の方が勝己も教えやすいかと思って』
「教えやすいとかねえわ!黙ってこっち座れ!!」
『はいはい』
このまま騒がれ続けるのも他のお客さんに迷惑なので、黙って勝己の隣に座る。先に座っていたのは勝己なのに、何故か窓際に座るよう促された。
軽食をつまみながら勉強会をスタートする。まずは自力で問題を解こうと、切島くんと2人で黙々とペンを走らせる。勝己は余裕らしく、頬杖をついてこちらをじぃっと見ている。
『……あの、そんなに見られたら集中出来ないんだけど』
「あ?見てねぇよ!自意識過剰かよっ!!」
「爆豪うるせえ」
「うるさくねえわ!わかんねぇとこねえのかよ!?」
「あるある!この問題意味わかんねぇ!!」
切島くんの分からないところを教え始めた勝己。これで集中して勉強ができる。再びノートに向き合い、ペンを走らせた。