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【ヒロアカ】Don't touch me.【轟】

第8章 Belief



飯田くんは俯いたまま口を開いた。

「轟くんも緑谷くんも、綿世さんまで……関係ないことで申し訳ない」
「また、そんなこと……」

緑谷くんの表情には影が落ちたけれど、それはすぐに拭われた。私は顔を上げた飯田くんの姿に目を奪われた。

「だからもう、二人にこれ以上血を流させる訳にはいかない!」

地に刺さる刃が月の光を反射する。ステインは折れた刀を手にしたまま目を釣り上げた。

「感化され取り繕おうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない。お前は私欲を優先させる贋物にしかならない!
“ヒーロー”を歪ませる社会のガンだ。誰かが正さねばならないんだ」

ステインの目に映る強い信念。
だからといって自分の信念のために人を殺していい訳ない。彼のやり方では憎しみは繰り返され“ヒーロー”を見失う者ばかりになってしまうだろう。
私はステインを力強く見据える。轟くんはステインの話をばっさり切り捨てた。

「時代錯誤の原理主義だ。飯田、人殺しの理屈に耳貸すな」

けれど、飯田くんは轟くんの言葉に否定を返す。

「奴の言う通りさ。僕にヒーローを名乗る資格などない。それでも……折れるわけにはいかない」

飯田くんの震える腕からは血が滴っていた。顔を上げたその瞳には彼の想いが滲み溢れている。

「俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう」

飯田くんはお兄さんの意思を継ぐつもりなんだ。酷い怪我を負って尚立ち上がる彼の姿に私は息を呑む。
ステインは飯田くんの言葉を一蹴した。その直後、向かい来るステインに轟くんが左の炎を放った。

「馬鹿っ……ヒーロー殺しの狙いは俺とその白アーマーだろ!応戦するより逃げた方がいいって!くそっお前だけでも逃げろ!」
「そんな隙あったら着いた時点でそうしてます!それに、私が動いたらヒーローさんが危ないです」
「ネイティブだ!俺のことはいいから!」

後ろで倒れたままのヒーローが声を上げ、私はそれに首を横に振った。もし私がこの場を離れたらすぐに背後の彼が狙われてしまうだろう。

きっと、応援はもうじき来る。ケンの個性ならここまでそうかからないはず。

「私が守ります……!」

私の言葉にネイティブさんは、なんつー子供らだ、と呟いた。

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