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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第10章 確かめられない想い



蘭さんからの連絡は、昼前に来た。
これから事情聴取に向かうのだと。

昨夜、あれから向かったのは銀行強盗の家で、その家の主は殺されていた。
殺したのは依頼者…樫塚さん、と名乗っていた浦沢芹那さんだった。
コナンくんは樫塚さんに着いていき、自殺を止め…最後に残っていた強盗犯に、車を奪われた。
安室さんはその車に自身の車をぶつけて…止めたのだという。


「安室さんは?」
『先に事情聴取されてたから…終わったらポアロに行くって』
「ありがとう蘭さん」

嘘つき。その言葉に頭がいっぱいになった。
悔しかった。無性に悔しくて、苦しくて。
透さんからも…もちろん零からも、連絡はなくて。
苦しくて。家を出た私の足は、ポアロに向かう。
歩きながら考えるのは、零の優しい声に零の優しい腕、温もり。愛し合った体。
…怖いんだ、私は。
昔の友人の訃報が、何度も何度も入ってきて。
零を失うことが、怖いんだ。

「透さん」

ポアロの入り口を掃除する透さんに、足を止めた。

「…○○さん」
「あなたの恋人として、話があります」
「……わかりました、…少し抜けると伝えてきますから待っててください」

少しの沈黙の後、諦めるようにそう言って、透はポアロの中に入る。
上着を着てすぐに出てくる透さんに、お待たせしました、と笑顔を向けられれば本当は昨日何もなかったんじゃないかとすら、思えてきた。
本来家主がいないところに入ってはいけないのは知っている。…だけど、他に場所が思いつかなくて予備で預かっている鍵で探偵事務所に入った。

「私、言ったよね」

誰も危ない目に合わせないって。
約束したはずなのに。

「ねぇ、…透さんならできたよね」
「僕こそ○○に、…言いましたよね」

透さんが、私の顎に手を当てて…

「危険なところに足を踏み入れようとするなって」

危険なことをしたのは零の方だと声を上げようとすれば口付けられていて。乱暴に、言葉を奪われた。
舌が絡んで壁に追い詰められ、零が手首を押さえて。

「れ…」
「その名じゃないですよ」
「…っ、透…さん」

話がしたい。どうして零が怒ってるのか、怒りたいのは私の方なのに。
はぁ、と深く深く息を吐いて抱きしめられた。



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