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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第1章 再会とキスの仕方


「別れよう」
そう言われたのは、確か警察学校の卒業式の日。
彼がどこに行くのか、聞くことはできなくて。

それから数年。
私は警察を辞めた。
フラフラとしていた私を見かねて警察官を辞めていた先輩、毛利小五郎のもと、私立探偵の助手をしている。

「○○姉ちゃんは、どうして警察を辞めたの?」
「こら、コナンっ!そういうのはデリカシーをだな」
「大丈夫ですよ、毛利先輩」

私が辞めたきっかけは。
同期が死んだから。

「当たり前なんだけどね、でもどこか自分の中で覚悟が全くできていなかった」

そんなことを話せば小さく繰り返し 「そっか」と悲しい笑顔で見上げられた。
誰の死にも関わりたくない。
そう、思っていた。

それなのに。
この眠りの小五郎に関わるとロクなことがない。

だけど、その違和感に気づくのにはそんなに時間がかからなかった。
毛利先輩の発言に「辻褄」が合わないのだから。
先輩の記憶にも納得がいかないことだらけで。

蘭さんの彼氏さんが、連絡がつかないことを知ったのはその違和感に気づいてしばらく経ってから。

これ以上関わってはいけない、本能がそう言っていた。
だから私は見て見ぬふりをしたんだ。
深く関わらない。

あくまで仕事上だけで関わる「毛利先輩のご家族」を選んだ。

だから、あの日。
喫茶「ポアロ」で。
『 ○○さん、今日は朝食をポアロでとっているから着いたらポアロに寄ってくださいね』
蘭さんからきたメールに対して私はまっすぐポアロに向かった。

「いらっしゃいませ」

その顔を見て、私は言葉を失った。
その人は警察学校時代の元カレ。
卒業式に別れたあの

「どうかされましたか?」

ご気分でも、と入口で止まった私に近づいて

「はじめまして、安室透です。今日から毛利さんの弟子にしていただきました」

あむろとおる。
その名前を繰り返して。
他人だった、と自分に言い聞かせるしかなかった。
この人がもしあの降谷零だとしても。
彼が安室だと名乗るなら今の彼は『安室』なのだから。

「はじめまして、私は○苗字○○○です。毛利先輩の助手をさせていただいてます」

よろしく、と手を差し伸べられて私は笑顔でその手を拒んだ。
触れたら、彼が本物か確かめたくなるから。
もっと、触れたくなるから。


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