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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第25章 無能



「…零…っ…だめ」

そんなことされたら抱いてくれないと困る。

「………ちゃんと零に抱いて貰えるまで、我慢するから…一人で気持ち良くなりたく、ない」
「あー………何だよそれ」

可愛い、と耳元で甘く甘く。

「○○、…」
「…零、時間大丈夫?」
「………はぁ…抱きたい」
「もう…っ、欲求不満なの?」

最近ずっとシてるのに。
…零も私も、お互いがほしくてたまらなくなる。
でも私は……沖矢さんに抱かれようとした。

「零…私に、何かできる?」
「……もう少しこのまま」

強い力で抱きしめられて、零の声が甘くて。
…そういうことじゃないのに、求められると幸せになる。
せめて零に言われたあの人について、きちんと調べよう…
零の役に立ちたい。
零が肩に口付けて…強めに吸い付いた。
軽い痛みを感じて…痕が残された。

「零…今度……零の痕、もっとつけて」

私を貴方のものだと…

「…今日はやけに、素直だな」

…熱い吐息が耳にかかる。

「そろそろ行ってくる…○○」

必ず帰ってくる、と甘い声で言われれば頷くしかなくて。
行ってらっしゃいと大好きな気持ちを込めて抱きつけば零から帰ってくる熱い体温。
キスをして手を振られて見送ればそれが幸せだと思ってしまった。


…零が部屋からいなくなって。
静かな部屋に寂しさを覚える。
こんなに大好きなのに、どうしてどうして零を私は裏切ろうとするのだろう。
沖矢さんの顔が浮かんでは…
忘れたいと願い、何事もなかったかのように部屋を片付ける。

私は…彼に近づく意味を、その時理解していなくて。

私は…沖矢昴の正体を、知らなかった。

調べてもただの大学院生だということしかわからなくて。
彼の高校、中学、と調べても。
何も出てこなくて。


その時に気づけばよかったんだ。


あんな、あんなに…私や零のことを知ってる人間が、ただの大学院生な訳がないって。
気づけばよかったのに。

なにもなかったことに安心してそれ以上調べることをしなかった。

私はいつだって

無能だった。



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