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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第25章 無能



「だーかーら、透さんはすっごく格好良いんです」
「さっきも同じこと言ってますよ」

お酒が美味しくて。
零からの連絡がない携帯を何度も開いては閉じて。

「まだ彼氏さんの話しますか?」
「………もういい」

本当は、連絡したいし。
本当は、キスしたい。
本当は、抱きしめて欲しいし。
本当は、今日ずっとそばにいて欲しかった。

…そんなこと、零の立場を考えれば言えるわけないけど。

「そろそろ暗くなりますし、タクシー呼びましょうか?」
「やだ」

そっぽを向いて、またお酒を喉に通す。
ヤケ酒のようなものだった。

「……会いたいなぁ」

零に。

「会いたい」
「…ご連絡されては?」
「やですよ……散々心配かけたんですから、今日くらいは仕事の邪魔したくありません」
「好きな女性に会いたいと言われて、迷惑な男はいませんよ」

私のように、と。
…キスをされていた。
舌が絡まって…頬を撫でられて、目線があって。

「抵抗されないんですね」
「………好きなんですか?私のこと」
「好きだと伝えたら、この家に二度と来ないでしょう?貴女は」

それは、…どういう意味なんだろうなんて考えたくなかった。

「友達ですよ」

沖矢さんから与えられる言葉に頷いて…

「…友達として、…キスしませんか」

あり得ない。
…友達とキスしない。
わかってるのに。

舌先が触れて…
零と全く違う熱に、零と違う感覚に…頭がおかしくなりそうで。

舌が絡み合って沖矢さんの首に腕を回した。
もっと、ほしい。
この初めての感覚をもっと…もっと大事にしたい。

そんなことを想う自分がすごく嫌なのに…

「……沖矢さん」
「嫌ならやめますよ?」

全部、全部が私が選んで。
私が…選んだことで。

「…………少しだけ、…沖矢さんの熱を感じたいと言ったら…軽蔑しますか」

キスをしながら…抱き上げられて、舌が絡み合って。
まるで恋人同士のような熱に涙目で。

「軽蔑しませんよ」

それでも私は、私を軽蔑する。

…せめて、この人には赦されていたいと思う私は愚かだった。



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