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水面下の梟【ヒロアカ】

第4章 推薦組vs.「別枠」



「わーたーしーがー!!
普通にドアから来た!!!」

雄々しい声と共に、オールマイトが前の扉から教室に入ってきた。

「オールマイトだ…!!すげぇ、本当に先生やってるんだな…!!!」
「銀時代のコスチュームだ!」

英雄の登壇に、教室中が湧いた。
やはり、ヒーロー志望の者にとって、オールマイトは特別な存在のようだ。
午前の英語の授業ではつまらなさそうにしていた爆豪でさえも、前をしっかり向いている。
そんな様子に、終綴はクスリと笑った。

「ヒーロー基礎学!
ヒーローの素地を作るため様々な訓練を行う科目だ!!
…早速だが今日は戦闘訓練!!!
着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!!」

グラウンドβということは、入試の際に使った試験場と同じか。
終綴は、昨日のうちに頭にしっかり叩き込んだ雄英の見取り図を思い出す。
広大な敷地のため、全て覚えるのには少々時間がかかったが、果たしてあの脳みその酷使にはそれに見合う対価が得られるのだろうか。
授業の内容には全く関係ないが、甚だ疑問である。
勿論、恋人や家族に覚えておけと言われたために覚えただけなのだが。
自分の意志ではない。
あんなものを自ら覚えようとするなんて、ただの変態である。
…少なくとも、終綴はそう思う。

──それにしても、…戦闘訓練、ねぇ。
──対人だといいな。

自分の最も得意とするのは、対人戦闘。
元々体術には優れているし、自信はあるのだが、ここは1つ。

──昨日出来なかった分、アイサツ…しなきゃね。

なぜか昨日と同様、「挨拶すること」に拘りを見せる終綴。

今日の授業が対人戦闘訓練であることを願いながら、自分のコスチュームを手に取る。

そして、通学鞄に入れてある大切なものを使うか迷い、────

「……………さすがに駄目か」

断念する。

下手なことはするな、恋人や家族からは口うるさく言われている。
恐らく、"あれ"を使うのは、彼らにとって「下手なこと」に入るだろう。

終綴自身としては、"あれ"を使わないと落ち着かないものなのだが────

仕方ない、と呟いて終綴は更衣室へと向かった。


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