第12章 見え隠れするは爪か牙か
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だから、というのもおかしな話だが。
「…じゃあ、ペアにしなかったのは?」
「自分が強いことに自覚あって尚その質問か?」
相澤は皮肉っぽく笑う。
なるほど、と終綴も頷いた。
「…ま、合格したとはいえ、
敵以外を眠らせてしまったから…おまえは赤点ギリギリってとこだろうな」
「瀬呂と峰田は一般市民って体だったのね」
はぁぁ、と溜息をつく。
────実力主義ってのに助けられた感じかな。
もしこの試験に落ちていたらと思うと、身震いがする。
家族にはどやされるだろうし、…下手をすれば、学校を辞めろとまで言われてしまうだろう。
元々、あまり賛成はされていなかったのだ。
上手くいっていないというのであれば、それは尚更。
───個性を借りれたとして、そのコントロールが今後の課題…か。
実は相澤の方には、峰田がトラウマを抱えていないか確認するという目的もあったのだが、それに終綴は気付かなかった。
あれ程の恐ろしい目に遭って尚、トラウマを抱えずに"そういう"目で彼女を見る峰田の精神力は讃えられるべきものなのかもしれない。