第8章 エイスアタック
「逆に嫌いなところ言いマース」
「もうやめて。オレの心はズタズタ」
「本当に泣きそう」と呟く彼を横目にあたしは口を開く。
「まず、あたしを無視して可愛い子を口説くカルム嫌い」
「あ、あれは…」
「ああ?」
「すみません」
心当たりはわかってる様で慌てるカルムを睨む。と黙った。チョロい。
「自分可愛いかっこいいと思ってるカルムキモい」
「もはや嫌いを通り越してる!!てゆーかさっきかっこいいって言ったくせに!」
「あたしが言うのとカルムが言うのとじゃ意味が違う」
「そろそろ泣いていいかな?いいよな?!」
さっきからうるさいカルムを無視してあたしは続けた。
「変態なところも嫌い」
「カロスまでオレを虐めに来たのかお隣さん!?」
「自分はバトル強いとか思ってるカルムうざい」
「……ぐすん」
鼻をすするカルムにクスクス笑うと、彼はあたしに「もう嫌いだ!!!!!」と叫んだ。
「えー、それは嫌だ」
「なんでだよ!」
「あたし好きだから」
「は…はぁぁ?!」
「好きって思ったから、会いに来た」
「好きって思ったから、嫌いなところも好きになれるよ。あたし…」と呟いた言葉を拾ったカルムに抱き締められる。
「……まじで?」
「まじ」
「……うそだろ。オレ…もう駄目かと思った」
「変なところでネガティブにならないでよ」
背中に手を回すと、より強く抱き締められる。
「ナナは本当に素直じゃないね」
「何を今さら」
「まったくだ」
「あたししか見えない?」
「うん、心底」
「あたし可愛いでしょ」
「自分で言うなよ。でも、本当に可愛いから許す」
そう言って、彼はあたしの頬に口づけを落とした。
「ナナ」
「ん?」
「ほっぺた食べていい?」
「黙れ変態」
この変態野郎…反省してないな?
「今後、浮気またはあたし放置は許さん」
「絶対しないって」
「なら誓って」
「オレのすべてをナナにあげる覚悟で誓わせてもらうよ」
そう言って笑ったカルムはやはり、スマート過ぎて腹立った。
とりあえず蹴りを入れても、悪くないよね?