• テキストサイズ

わたしは黄桃

第2章 の



その後袋井さんとは何度もスーパーで顔を合わせ、そのたびに私達は話し込んだ。
何度話してもいい人だった。
優しくて穏やかで、私が何を言ってもニコニコと話を聞いてくれた。

私を否定するようなことは一度も言わない。

それが嬉しくて、私は袋井さんに会うのをいつも心待ちにするようになった。
人と話すのがこんなに楽しいだなんて、久しぶりな気がする。


(包み込まれるようにあたたかい人だなあ)
スーパーの袋を手にぶら下げて帰路を歩きながら、私はそんなことを考えた。
時刻は18時半。太陽は大きく傾いて、柔らかな西日をたたえながら沈もうとしている。そうだ、袋井さんはこのお日様みたいにあたたかい。

私は足を止めて太陽へと向き直った。
黄色い日輪が周囲を暖色に染めている。

黄色い、丸、ときて、私はつい黄桃を思い浮かべてしまい、1人でクスクス笑った。
ああ、黄桃、食べたいな。

/ 17ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp