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わたしは黄桃

第4章 詰



翌日のスーパーで、私は買い物カゴを手に歩いていた。

ナス、ピーマン、豆腐、油揚げ、サバ、みりん…。

ふと、足を止める。
袋井さんが目の前にいた。

「あっ…どうも。あ、袋井さん、サバもうすぐ売り切れますよ。買うなら急いだ方がいいですよ」
「好きです」
「はい?」
「あの…好きです、桃浜さん」

袋井さんは真っ直ぐ私を見つめてきた。いつものキョドキョドした態度ではなかった。

「たくさん考えました。諦めようとも何度も思いました。でも、ダメでした。ボクやっぱり、あなたのことが好きです」

「…はあ」
突然のことに呆気にとられ、私ときたら何も言うことが出来ずにいた。

「す、すみません、こんなところでこんな話しして。でもボク、ここ以外であなたと会えないですし…。あの、これ、ボクのメアドです」

そう言って袋井さんは小さなメモカードを私に握らせた。

「いつでも連絡、下さい。連絡ないうちは、ボクの方からは桃浜さんに話しかけませんから。嫌だなと思ったら、それは捨てて下さい。そうしたらボクは、本当にきっぱり、あなたのこと諦めますから。でも…連絡、待ってます」

それだけ言って袋井さんは踵を返し、スーパーから出ていった。
私はメモカードを見つめた。几帳面そうな字が並んでいる、彼らしい愛らしさのある紙片だった。

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