第2章 中編 古代都市シャンドラ
ヒラリと、目の前に何かが舞い降りる。
「…初めまして、シャンクスさん」
手で顔を覆い、現実を受け入れられなかった彼に掛けられた言葉。
視線を向ければ、そこに立っていた人物に彼は目を見張った。
目の前に舞い降りた少女。
それは、幾度となく夢に出てきた彼女だった。
白髪を腰までなびかせ、金色の瞳をこちらに向ける。
表情こそ乏しいが、その美しい姿に、彼は言葉を失った。
「匿って貰ったお礼に、アレは破壊させてもらいました」
淡々と告げる彼女は、緑色の羽を彼に渡す。
たったそれだけで、あの小鳥の正体が彼女だと分かった。
「…え、えっと、じゃぁ私は用事がありますので、これで失礼します」
無言の彼から痛い程の視線を感じ、ユーリは口早にそう話す。
そして身を翻そうとしたとき、羽を差し出していた手をそのまま捕まれ、引き寄せられた。
「……はぁ、これ以上おれの寿命を縮めるなよ」
シャンクスの腕の中に納まった彼女は、ゆっくりと瞬きをする。
強い力で抱きしめている彼は、まるでもう離さないとでも言うかのように、彼女に頬を擦り寄せる。
大人しく彼の腕の中で納まっているユーリ。
暫く、彼の好きなようにさせていた。
ずっと探していた彼女。
それが今、目の前にいる。
何処かへ行こうとしているようだったが、そんなことはどうでもいい。
聞きたいことも山ほどあるが、それもいい。
今は、彼女を手放す気などなかった。