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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女




…悪夢だ…なんて…悪夢なんだ…


ユーリの意識は、暗い空間の中でぼんやりと浮かんでいた。

頼むから夢なら早く覚めてくれ、そう願い続けているのに未だに現実に戻る気配はない。

ユーリの脳裏には、先ほどの光景が目に焼き付いて離れない。

何がどうなってああなったんだ。

そう何度も心の中で叫んでいた。

ユーリが望んでいた展開と180度違う状況に、最早混乱を通り越して脳内は真っ白だった。

そして極めつけは最後のあれ。

先ほども言ったが、何がどうなってああなったんだ。誰か教えてくれ。

あんなの原作でもなかったぞ。

いや、あんなのがルフィを対象に原作であろうものなら、私の脳内は歓喜に包まれていただろうが。

ユーリは最早乾いた笑みしか出てこなかった。

人の腕を奪っておいて、まだそんなことを考えれる余裕があるあたり、私も随分と図太い神経をしている。


恐らくそれは、未だに心のどこかでこれは夢だと信じている部分があるせいなのかもしれない。




だがそれも、突然聞こえてきた声に打ち崩されることになる。






ーーーお帰りなさい。あなたが来るのを、ずっと待っていました。


突然響いてきた声、そして開けた視界。

眩しさで思わず目を閉じたユーリだが、聞こえてきた言葉にすぐさま目を見開いた。





ーーー今後あなたは、この世界で生きていってください。そして来るべき時に備えて強くなってください


「……は?」


目の前に広がるのは、果てしなく続く海とレッドフォース号。

そしてユーリを抱きかかえている、シャンクスの姿があった。


…なんだこの、幽体離脱状態は。

宙に浮いているユーリは、死にかけの己自身を見てそう呟いた。


ーーーもしかして、まだ夢と思っているんですか?

そして現実逃避中のユーリへ伝えられた、信じられない言葉。

最早ユーリは突っ込む気すらおきなかった。

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