第1章 前編 赤髪の皇帝 白髪の少女
「あー、もしかしてルフィのこと好きなのか?」
ユーリの沈黙をどう捉えたのか、そう勘違いしたシャンクス。
確かに好きだがこの聞き方だと、LOVE的な方で聞いてきてるんだろうか。
何がどうなってそう思ったのか謎だが、取り合えず友達になりたいとだけ答えた。
「そうなのか。…でも悪いな、あいつはまだ連れていけねぇんだ」
ユーリの言葉にどこか安堵したようなシャンクス。
だがユーリはそんな彼の様子に気づかなかった。
いやだから何で私はいいんだよ!殺す気満々か!
内心そう叫んでいるユーリは、この状況をどうしようかと悩んでいた。
取り合えず断ってみるが、意外と彼はすぐに引かなかった。
子供相手に何故そこまで熱心に勧誘をする。
身代わり要員だとしても、ただの足手まといでしかないだろう。
いや、シャンクスに限ってそんな考えはないのだろうが。
だからこそ、何故仲間に入れたがっているのか理解できなかった。
そして誘われては断るを繰り返すうちに、最初は笑顔だったシャンクスも次第に真顔になり始めた。
因みにユーリの表情は、次第に青ざめていった。
なんて奴だ、子供相手(ただし外見のみ)に大人気ない!
顔が怖いんですけど!!
穏やかなシャンクスのイメージしかなかったユーリは、中々引こうとしない彼に大量の冷や汗をかいていた。
いや、妄想の世界では鬼畜な彼で有名だったが、原作は違うよな!?
頼むから断る度に睨むレベルを上げるのを止めてくれー!
ユーリは次第にクラクラしてくる頭に手を当てると、何か打開策はないのかと必死で考えた。
ユーリとてシャンクスは好きだが別に仲間になりたいわけじゃない。
ルフィも一緒なら話は別だが、よくよく考えればそうなったらなったで原作と流れが大きく変わってしまう。
それが何を意味するか分からないが。
てかこれは夢なのか!?違うのか!?どっちなんだ!?
シャンクスから睨みつける攻撃を受け続けること数分、ユーリの混乱は最早限界を極めていた。