第2章 中編 古代都市シャンドラ
ーーー実に見事だった。人類のこれからの繁栄を祈願し、我々はシャンドラを祝福しよう
「…は?」
シャンクスが彼らを睨みつけていると、よく分からないことを言われた。
ーーー神の略称である”D”を名乗ることを許そう。Cの名を改め、Dと名乗るがよい
「いや、意味が分からないんだが…」
言い方が非常に偉そうだが、神と名乗ってるくらいなので、本当に偉いのだろう。
そんなどうでもいいことが、彼の頭を過った。
ーーーただの人間に仕えるのは癪に障るが、元より我々の血を引くシャンドラの王なら話は別だ。さぁ、力を受け取れ
「だから、何の話だ」
シャンクスの言葉を無視して行われる会話。
ただでさえユーリの件で苛立っていて彼は、その感情を隠しもせずに彼らを睨みつける。
本当は、神の血を引いていると言われたことを気にするべきなのだろう。
当然その言葉を、シャンクスは心に留めて置いた。
だが、今はユーリの事があるので邪魔して欲しくなかった。
しかしそんな彼の思いも虚しく、突然身体が浮き上がる。
ユーリを抱えていたため、一緒に上空へと舞い上がった二人。
二人の目の前には、数百体もの神々の姿があった。
ーーーこれより我々は、シャンドラの神として繁栄を約束しよう
静かに放たれた言葉。
その瞬間、二人を淡い光が包んだ。
「ねぇ、随分私たちと態度が違うんじゃない?てかどういう風の吹き回しよ」
「そりゃ、俺たちはただの機械で量産品だからな。あれは…まぁ神様だし、そろそろちゃんとしたところで祀って欲しかったんじゃね?」
「そんな単純な理由なの?」
「神様だからって複雑とも限らないだろ?5000年前の戦争だって、原因はどうでもいいことだって聞いたぞ?」
「…もう、神なんて名乗るのを止めたらどうかしら」
呆れた表情のポセイドンに、色々察しているプルトン。
二人の視線の先には、勝手に祝福されて不満そうな、シャンクスの姿があった。