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王の孔雀石【ONE PIECE 】

第2章 中編 古代都市シャンドラ



目の前には剣を構えているシャンクス。

城内にある訓練場で、二人は対峙していた。

「シャンクスさん、疲れているんですか?」

古代兵器と分かっていて勝負を挑むなど、いくら強いとはいえ正気の沙汰とは思えない。

突然申し込まれた勝負に、ユーリは困惑していた。

「別に疲れてねぇぞ?それより気になっていたんだが、さん付けは止めろって」

「…もっと他に気にするべきことがあると思うのですが」

「てことで、おれが勝ったらさんはなしだな。後敬語は…まぁ追々でいいか」

「相変わらず私の意見は全スルーですか」

我が道を行くシャンクスに、ユーリは顔を引きつらせる。

しかしこのまま突っ立ってても状況は何も変わらない。

ユーリはため息を吐くと、渡された剣を捨てた。
ユーリの戦法は武器を必要としない。

ゆっくりと構えた彼女に、シャンクスは笑みを深めた。


「じゃぁ、始めるか」

笑みをそのままに、地を蹴ったシャンクス。

瞬時に迫って来た剣先を避けたユーリ。
そんな彼女を追って繰り出される、鮮やかな剣捌き。

予想通り、早さも、技術も、力も人並み外れたものだった。
しかしそれは一般人に比べたらの話だ。

ユーリにとっては彼の動きなど、スローモーションの様に見える。

といっても、まだ彼も本気を出していないのだが。

「避けてばかりだと何時までも終わらねぇぞ?遠慮なくこい」

何が楽しいか、彼から笑みが消えることはなかった。

もしや戦闘狂かとも思ったが、多分違うだろう。

ユーリが本気で行けば、無事で済まないどころか命を落とす可能性がある。

彼の目的は何なのか。

ーーーって、目的は私と一緒にいることか?後は名前呼び?…ますます意味が分からないですね

たったそれだけの為に、彼は命を掛けている。
ユーリが、彼を殺さないと思っているのだろうか。

確かに殺す気などないが、それでも命を削るというリスクは大きい。

そこまでする価値が、ユーリにあるとは思えなかった。

ーーーやはり、人間の考えていることなど分かりませんね

脳裏に浮かぶのは、今まで出会ってきた人々。





ユーリの動きが本格的に変わり始める。


それと同時に、シャンクスの瞳も赤い光が宿り始めていった。


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