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第1章 寝癖




――主人を蔑ろにするなんて、今宵こそ食ってやろうか。

そんな不穏な気持ちを察したのか、獣はきゅう、と小さく嘶くと、茂みの向こうへ姿を消した。

そう、いらない。
誰からの同調も憐情も、何よりこんな、弱い自分も――

そう自分に言い聞かせて、夢の内容を、そこはかとなく漂い続ける不安を、何かしらの予感を、胸の奥底に厳重にしまい込む。
自らの手でその封を開けるのは、そう遠くない未来の話だと――
その時の俺は、知る由もないのだから。

――――――――――
「…いえやすっ!!」



少し強い目に揺さぶられ。

少しずつ視界に、求めていた姿が映り。
勿体無い、なんて感じた俺は眠気を振り払い、目を開く。

「気持ち良さそうに寝てたから、迷ったんだけど…顔の下で折角の書状がグチャグチャになりそうだったから。ごめんね?」

申し訳なさそうに眉根を下げ、小首を傾げる表情に、癒される。
こんな穏やかな時を、手に入れる事が出来るなんて――

その名前を、呼べるなんて。

「…あんたに会えて、よかった。」
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