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*恋人はインキュバス*【R18】

第3章 壊される日常








「一日中ここで寝てりゃいいのに」

「遠慮しておきます!」

ぐったりして動けなかった私の体を清めてくれた彼。
乱れた服を整えベッドを出ようとすると、ぎゅっと力強く抱き締められた。


「…忘れるなよ?お前は俺のモンだ…朝も昼も夜も…な」

「っ…」

「他の男に色目なんか遣ったら…」

「遣いませんよ!」

「ふ…そうか」

私の耳元でクスリと笑う彼。
そのまま厭らしく耳の縁に舌を這わせてくる。


「ゃっ…」

(そんな事されたらまた…)


「…もうお前は俺じゃなきゃ満足出来ないはずだ」

「……、」

「俺が欲しくなったらいつでもここへ来い」

「っ…」

そう囁く彼の腕を振り払い、医務室を出る。
まだ火照っている体…
自分の体がどんどん作り替えられているようで怖い。
それなのに…


「………」

ついさっきまでの彼との行為が脳裏に焼き付いて離れない。
甘い香りに逞しい体…私を攻めてきたかと思えば、甘い言葉で惑わせてくる。


「…笹木?」

「…!」

廊下で立ち止まっていると、前から歩いてきた人物に声を掛けられた。
同じ文学部の山下くんだ。


「具合悪いって聞いたけど…平気?」

「っ…う、うん…医務室で休ませてもらったからもう大丈夫!」

「そう?まだ少し顔赤いみたいだけど…」

「ぁっ…」

伸びてきた手が私の額に触れる。
たったそれだけの事で、まだ体が敏感になっている私はあられもない声を出してしまった。


「っ…、笹木…?」

「ご、ごめん!ホントに大丈夫だから!」

恥ずかしくなってその場から走り去る。

(もうやだっ…)

絶対山下くんに変に思われたよね…?

その日私は、彼の顔をまともに見る事が出来なかった。
そんな私に、彼が複雑な想いを抱いているとも知らずに…



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