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【ヒロアカ】自己犠牲ヒーロー

第5章 渡る世間に鬼はなし


シェイドが頼まれたおつかいから戻る。
その直後、オフィスは多分今までにあまり見せない忙しさを見せていた。
シェイドは仕事の邪魔になりそうだったので、オフィスを出て休憩所で缶コーヒーを飲んでいた。ベンチに座ってのんびり寛ぐ。
少しずつ、時間だけが過ぎていった。
缶の中が無くなったので、シェイドは缶をゴミ箱に捨てようと立ち上がると、1人の人間が休憩所に駆け込んで来た。

「ここに居たんですね!」

インクカートリッジが無くて青ざめていた女性社員だった。
彼女は肩で息をしながらシェイドの元へふらふらと近づき、ベンチの背もたれに手を置いた。

『……ひとまず、座ったらどうですか?』
「はぃ…………ありがとう……ございます」

シェイドが座るよう促すと、女性社員は素直に座った。
シェイドは空の缶を床に置いてベンチに座り、息を切らす女性社員を黙って見つめた。
女性が呼吸を整えると、シェイドに向き直ってこう言った。

「先程はありがとうございました!何とお詫びすれば良いか……」

シェイドは首を横に振った。

『困っている人を助けるのが、我々ヒーローの仕事です。感謝されるような事は何もしていません』
「……しかし」
『ご放念ください』

シェイドはやんわり断った。

「……はい」

女性社員はしゅんと落ち込みながら引き下がった。素直な子だなとシェイドは思った。

「あの、シェイドさん」

女性社員が重い口を開けて、

「副社長は、本当にいい方ですね」

シェイドの従兄弟を褒めた。

「私の伝達ミスで急遽資料の印刷量が足りないと知って、私が取り乱しそうになっても、何度も『大丈夫』と言ってくださったんです」

シェイドは黙って聞く。

「少し前も私がミスを連発して同僚や先輩方に迷惑をかけてしまった時も、副社長だけは許してくださいました。本当に何度も助けていただいております」

女性社員は一息つくと、シェイドと目を合わせる。

「そういえば、ご存知でしょうか?シェイドさんがこのビルの地下に住み始めた日から、副社長のお人好しに磨きがかかってきているんですよ」
『…………えっ』

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