第4章 おくびにも出さない
「さっき、“パトロールしなくていい”って言っちゃったけど、正確には“警察が来るから事務所にいてほしい”んだ」
『そういう事はもっと早く教えてください。それから回りくどいです』
「ごめんよお〜」
従兄弟は両手を合わせて謝る。それを見てシェイドは呆れるしかない。
シェイドは従兄弟に内容の詳細を尋ねると、従兄弟は声を潜めて話し出した。
「実は世間に公表されてない事件の依頼でね。君の個性が必要らしいんだ」
『私の個性が、ですか?』
シェイドは人生で初めて自分の個性を必要とされて、嬉しさと恨めしさで複雑な心境だった。
『私の個性が必要という事は、隠密活動と言ったところでしょうか?』
「その辺りは私も知らないんだ。この後警察が来て、説明してくれるはずだよ」
『そうですね』
シェイドは拳銃をホルスターに収めた。その後に『あ』と声を出すと従兄弟を見た。
『どこで話すんですか?』
「一応談話室を空けてあるけど、向こう側の意思に従う予定。情報漏洩とか気にするだろうしね」
『なるほど』
シェイドが納得したのを確認した従兄弟は、「警察が来たら呼ぶね」と言うと、部屋から出て行った。
急に暇になったシェイドは何をしようか考え始めた、が。
『(筋トレしても警察が来た時に息切れしていたら失礼ですし、それ以前に怪しまれます。だからと言って何もしないのも億劫です。抜き撃ちの練習は散々やりましたし、どうしましょう?)』
ふと目線を下に向けると、寒冷迷彩の戦闘服が目に入る。
『……着替えましょうか』
コンバットシャツを脱いで、ベルトの上から袖を縛る。編み上げブーツを普通のスニーカーに履き替える。手袋を外してヒーロースーツを入れている鞄にしまう。
白いTシャツに寒冷迷彩のズボンと言う格好になっても、銃のホルスターは外さず、ナイフも足に入れているものは出していない。
シェイドはソファに腰掛けて新聞を読みながら、警察の到着を待った。