第13章 今夜は朝まで離さない/後編/R18
「嬉しい」
ひとこと言ってから、頬を両手で包み込む。
「今、嬉し過ぎて全身が震えてる」
「…!」
「君の"初めて"を俺が貰えるなんて… これ以上の幸せは そうそう無い」
「佐助… くん……」
「この後、莉菜さんがびっくりするようなことをいっぱいするかもしれないけど…」
「…っ」
「でも、決して君を傷つけたり怖がらせるようなことはしない。色んな意味で満足してもらえるように、今日は俺の持てる力の限りを尽くす。莉菜さん、打ち明けてくれてありがとう」
「う、うん……!」
しっかりと目を見つめて言い切ると、莉菜さんが安心したように微笑んだ。
その笑顔に俺も安堵し、
背中に腕を回しかけたその時…ーーー
「佐助くんは、初めてじゃない…… よね?」
莉菜さんの口から不意打ちで、
しかも そこそこパンチの効いた質問が飛び出した。
「え・・・」
ちょっと待った。
これは… どう答えるのがベストなんだろう。
嘘をつく必要は無いし、つく気も無いけど、
答え方次第では莉菜さんに嫌な思いをさせてしまう可能性もある。
もし失敗すれば せっかくの雰囲気が台無しになる恐れも……
「佐助くん?」
くっ、
再び 己の恋愛スキルを試されてる気がしてきた。
でも返答までに間が空いたら逆におかしいし、そもそも俺は嘘が苦手だ。
思い切って正直に言おう。
「うん… 俺は…… 初めてじゃ、ない」