第11章 今夜は朝まで離さない/前編
「佐助殿、こやつの始末は如何する」
忍のひとりがそう言いながら、男を足先でコツンと蹴った。
「し、始末って!?おおおお願いします、命だけはお助け下さい!もう二度としませんから…!」
男が俺たち全員の顔を順番に見ながら懇願する。
「お前な。二度としませんって、んなもんハイそうですかと信用できるか バカ」
「ヒィィ!本当ですってぇぇぇ」
「佐助、どーすんだよこいつ」
「さて… どうしてやろうかな」
「お願いします!お願いします…!」
「悪いけど 君のお願いは聞けない。欲望のまま、沢山の女性を酷い目に合わせた罪は重い」
もう少しで莉菜さんも餌食になるところだった。
俺の莉菜さんを、よくも……
(ジャキッ!)
怒りの感情を隠すことなく、クナイを構えて男の首に突きつけた。
「ヒ…ッ!」
「今までやった余罪を全て吐け」
「ええっ!?」
「もし従わなければ今から君を……」
男の耳元で、この世に存在する ありとあらゆる残虐な拷問・処刑方の数々を念仏のように唱える。
「わかった、い、言う!言うからそれだけはやめてくれ!!」
白状したあと男は失禁し、気絶した。
「気絶しやがった… おい、何言ったんだ?」
「企業秘密だ」
「なんだよ 気になるだろ、教えろよ」
「皆さん、本当にありがとうございました。助かりました」
「無視すんなって」
食い下がる幸村をかわしつつ、協力してくれた皆に丁重に御礼を告げる。
「佐助殿の大切な御方がご無事で何より」
「あとは我々にお任せを」
「お願いします。幸村もありがとう」
「おー。さっきの、今度絶対教えろよな」
最後まで彼らの厚意に甘え、
俺は眠ったままの莉菜さんを連れて、一足先にその場を後にした。
ー 中編に続く ー