第10章 熱帯夜に見た夢/R18
安土城まで送ってもらった私は、佐助くんが焙烙玉で見張り兵を引きつけてくれている間に城へと入り、無事自室へ戻ることが出来た。
ラッキーなことに今日は秀吉さんが不在だったようで、私が居なくても必要以上の騒ぎにはならなかったらしい。
布団に入る前、木彫りの亀とキツネのお面を床の間に飾ってみた。
そして小さなブレスレットは箪笥にしまい、窓辺には風鈴をぶら下げた。
ちり、ちりーー…ん……
風が入るたび 風鈴の涼やかな音が鳴り、
夏の夜の蒸し暑さを軽減させてくれる。
「今日… 楽しかったな……」
ゴロンと大の字に寝転んで 祭りでの出来事を思い返す。
穏やかな日常が当たり前に続くと限らないこの時代で、
こうして今日一日を幸せに過ごせたことに感謝しよう……
「!」
あ、そうだ。
次に佐助くんに逢えたときは、
ついに私………
「ひゃぁぁぁ!」
一番肝心な約束事を思い出し 布団の上で転がって悶絶する。
「きゃぁぁぁ!」
その日の深夜まで、私の悲鳴が止むことはなかった…ーーー
ー おしまい ー