第10章 熱帯夜に見た夢/R18
「……莉菜様、私が門番を引きつけますので、その隙にすり抜けて下さい」
「うん、わかった… でもほんとごめんね、なんだかお晴ちゃんにまで危ないことさせてるような気分だよ」
もし見つかったら お晴ちゃんにまで迷惑がかかるのに。
今更だけど、心配になってくる。
「お気になさらず!私は元来 こういった手に汗を握るような物事が大好きなんです」
「そうだったんだ!?」
さすが、あの政宗を好きなだけあるなぁと妙に納得してしまう。
「では いきますよ」
お晴ちゃんが、スゥと息を吸い…
「誰かぁー!誰かおられませんか!?怪しい者が城の中に!!」
門番に聞こえるよう、大声で叫んだ。
「何だと!?どこだ!?」
「井戸の方へ逃げて行きました!今 追えば間に合うかと!」
「井戸だな、よし行くぞ」
二人いた門番は、お晴ちゃんに騙されて走って行く。
「さ、莉菜様 今です!いってらっしゃいませ!」
「ありがとう!お土産買って来るねっ」
私は お晴ちゃんに小声で御礼を言い、隠れていた物陰から飛び出して裏門を出た。