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【実況者】蟹の好きな花【rtrt夢】

第8章 嫉妬も愛情表現です


 

 俺の彼女はあまり嫉妬してくれない。

 正確には、昔に比べて嫉妬してくれなくなった、と言うべきか。
 高校生の頃は、俺が美少女相手の恋愛ゲームやってると、あからさまに拗ねて口も聞いてくれない時だってあったのに。そういうところも可愛くて可愛くてたまらなかった。だから、わざと彼女の前でゲームして、よくプンスコ怒られていた。
 けれど、時の流れは残酷だ。恋人になって数年経った今では、そんな初々しい反応もしてくれなくなった。
 俺がわざわざ目の前でテレビ付けて恋愛ゲームをやり始めても、彼女は寧ろ興味津々で隣に座って画面を見守る。

「あっ、この間の続き? 前は生徒会長さんとデートの約束したんですよね、どうなるんやろ〜、楽しみ!」

 画面の中の美少女に向かって「あら〜初々しくて可愛いですねえ〜」なんてニヤニヤ笑っている彼女。
 これが幼い頃から今日まで共に長い時間を過ごした弊害か。いや、めっちゃ楽しいんやけどね。一緒に恋愛ゲームも楽しんでくれる彼女、最高やろ。しかし男心は複雑だ。
 恋心という"熱烈な愛情"は大体3年くらいで冷めてしまうらしい。彼女の俺に対する恋心なんて、もうすっかり落ち着いてしまったのか。いや、そのまま倦怠期になって飽きられてサヨウナラ〜、なんて展開もよく耳に入る話だから、今の関係は良好で理想的とも言えるだろう。
 まあ、俺は毎日可愛い彼女に恋をしているから、愛情の冷めなんて感じた事もないけど。レトルトさんのお花ちゃんを想う心は、いつでもぽっかぽかです。
 うん……我儘、だと思う。贅沢者と言われるだろう。でも、俺ばっかり不公平じゃないか、俺は自分の親友にすら彼女が絡むと嫉妬してしまうのに、ずるい──そんな女々しいことを考えてしまう。

「……って、どうしたの、浮かない顔して。この子、あんまり好みじゃなかった?」
「え? や、そういう訳ちゃうよ、うん」

 黒髪ロングで少し病んでそうな雰囲気、寧ろかなり上位の好みです、生徒会長。笑った顔が菜花ちゃんになんとなく似てるし、という理由は言わずに飲み込んだ。心配そうに俺の顔を上目遣いで見つめてくる彼女に、適当な相槌をうって苦笑う。
 昔みたいにヤキモチ妬いて怒って「ルトくんのばかばか!」って初々しい反応見せてくれてもええのにな……ああ、でも上目遣いめっちゃ可愛いわ、すき……結婚しよ……。
 
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