第3章 地獄のヌードデッサン【チョロ松】
「ねぇねぇ、桜! どうだった? 桜も濡れた?」
女子たちが桜に群がる。
「ん〜、ナイショッ! あ、授業終わりだって! 行こっ!」
くすくすと笑い合いながら、潮が引くように女子生徒たちが去っていく。
鬼の教師が、恍惚状態で残されたチョロ松を覗き込んだ。
「では、チョロ松さん。今日はこれで終わりです。明日もヌードデッサン地獄がありますから、ちゃんと時間通り来てくださいね」
『めざせ転生! 地獄スタンプカード』にポンと判子を押す。
「え! 明日も!? ホントかよ! 僕、地獄大好きです!」
チョロ松は飛び起きる。
教師は部屋を片付け始めた。
「あ、ちなみに明日は女子クラスではなく、筋肉ガチムチ男子クラスですからね〜」
「は?」
チョロ松が固まる。
「このクラスでモデルをやると、必ずお尻を狙われますから、覚悟しておいてくださいね〜」
さらりと恐ろしい情報を提供する鬼教師。
「う、嘘でしょ!?」
「本当です。まあ、頑張りましょう!」
輪廻転生まであと8京6千億年。
チョロ松の叫びが地獄にこだました。
「やっぱり地獄なんて嫌ああああぁーー!!」
END