第3章 (1) Forget-me-not
次の日のお昼頃
私はお隣の平屋の前にいた。
ちらりと中を覗いてみるが人がいる気配はなく、庭の様子も昨日私が見た時から変わった様子がない。
「せっかく綺麗に花があるのに雑草生えっぱなしは勿体無いよね」
もし人がいたらどうしようという考えも過ぎりつつも、平屋の庭に足を踏み入れた
「おじゃましまーす……うわぁ、やっぱり綺麗…」
目の間でこの庭を見るのは初めてなので、思わず感動の声が漏れる。
たくさんお花たちが縁側から見えるように植えられており、とても愛を感じる。
この縁側でお茶とか飲んだら癒されるだろうなぁ。
「よーし、もっと綺麗にしちゃうぞ!」
お花の綺麗さにやる気が満ち溢れる。
そんなこんなで私は早速草むしりを開始した。
花を傷つけないように丁寧に雑草を抜いていく。
これが単純作業に見えて意外と体力を使う。
他人の私が気になるくらいなので雑草の数もかなりのものだ。
この庭、どんな人が整えたんだろ…?
優しそうなお花大好きな可愛いお婆さんとかかな?
旦那さんに先立たれて、1人でこの庭と家を守ってたけど最近自分の体がいうことをきかなくなってきたのを機に、息子夫婦と一緒に暮らすことになって引越し…とかかなぁ。
あーありそう。そして絶対良い人。
嫁姑問題とは無縁のお婆さん。
きっとこの庭のこと気にしてるだろうなぁ。
綺麗にしたら喜んでくれるかな。
そんなことを考えながらひたすら草を抜く。
そんな時だった
「あの、すみません…どなたでしょうか…」
後ろから突然声をかけられたのだ。
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