第5章 (3)Reunion
猫を助けたら何故か大豪邸にお邪魔していた。
何を言ってるか分からないと思うけど、経験している私でさえわけがわからないから安心してほしい。
「あの…桐嶋さん」
「ん?どうかしたのか」
「いやなんですかこの豪邸は」
猫を助けるのを手伝ってくれた桐嶋さんに連れられてやってきたのは、山の中にあるとてつもなく綺麗なお家だった。
桐嶋さんの働いているところだと聞いていたので、厳ついおじさんたちがたくさんいる事務所かなにかかと思っていたがそれとはまた違う意味で怖すぎる。
「だから俺が働いてる家だよ。本当ならあんまり部外者を入れたら駄目なんだが…まぁ大丈夫だろ!」
「待ってください今サラッと怖いこと言いませんでした!?」
「大丈夫だって、俺の勘は当たる。九条さんだってお前を気に入ってくれるさ」
九条さんって誰だろう…。
いろいろと不安しかないが、今私は猫の血でシャツが血塗れになっている。
このまま外に出れば間違いなく職質…それどころか逮捕されるに違いない。
今は桐嶋さんの好意に甘えるしかないのだ
「よし、とりあえずお前は脱げ」
「えっ、ぬ、脱げ!?」
突然わけのわからないことを言われて思わず声を荒らげてしまう。
脱げって、何を言ってるのこの人は!?
「早くしねぇと血が取れなくなるだろ」
ああ、なるほど服の汚れの為ね……って違うでしょ!?
何この人、天然なの!?
「それはそうだけど、そういう話ではなくっ」
「あ?それ以外何があるんだよ」
多分桐嶋さんに下心はなく本当に汚れを心配してくれているのだろう。
きょとんとした顔のまま、桐嶋さんは片手で私の背中を壁に抑えつけた。
所謂壁ドンをされる形になり、いきなりのことに頭の処理が追いつかなくなる。
「き、桐嶋さ…」
「大人しくしてろ。すぐ終わるから…」
桐嶋さんの男らしい体と顔つきが目に入り、こんな状況なのにも関わらずドキッとしてしまった。
でも流石に下着姿を見られるのはまずい…!!
そんな私の思いも虚しく桐嶋さんのごつごつした手が私のシャツのボタンに伸ばされ……。
「……なにしてんの」
その時、桐嶋さんを静止するように廊下に声が響く。
そこにいたのは高校生くらいの美少年だった。
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