第6章 何とかなるか分からないけど、何とかなるでしょ
「……すっ、すみません。取り乱してしまいました……何だか安心して」
ヘヘっと泣いて顔を赤らめている様子は、私よりも女子であった。男の子に言うのはどうかと思ったけど。
何か鼻をかむ物はないかと、辺りを見廻す。先程座っていた書机に、ティッシュのような物が見えた。
取りに行くと、木で出来た箱に器用にも細かい模様が施されている。迂闊に家でやるように、穴に指を入れて運ぶような事は出来ない。いや、出来ずに両手で晃くんの所まで運んだ。
「大丈夫だよ。こちらこそごめんね?晃くんも大変だったよね……これで鼻かんで?私物じゃないから胸が痛いけど」
すみませんと言い、晃くんはティッシュ箱から1枚取り出す。擦れる音がしないから、鼻〇レブとかかなーっとヒラヒラを上の空で見ていた。
「では私は、朝餉の準備に取り掛かってまいりますね」
「そうだったの?私も何か手伝うよ」
「いえいえ、様の様子を伺いに来たのが理由なだけでして。お疲れでしょう、もう少しの間お休みになられてください」
「え、いや、あの……」
さあさあと、既に立っている私の向きを変え、背中を押し、書机の座椅子へ座らせられた。
「では、失礼いたしました。朝餉の準備が整いましたら、再度お伺いしますね」
にっこりとした笑顔は可愛らしさもあったが、
満面の笑みを浮かべた白蛇さんに似ていた気がするのは私だけだろうか。