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【短編集】慟哭のファンタジア【HQ】【裏】

第32章 主よ甘き日々を終わりまで3(烏養繋心)


もしかしたら、嫌だったかもしれない。
でも、最後かも…と思ったら我慢できなくて。
少しのアルコールのにおいとタバコのにおい。
大人の男性なんだなって改めて思った。

思い出していたらお腹が熱くなってしまった。
誤魔化すようにレジを離れて雑用をしまくった。
なんとかその日の仕事は終わって、夜遅くに家についた。
まだ温かいご飯にラップがかけられている。
もうご両親は寝ているかな、と襖を少し開けると寝息が聞こえる。
いつもありがとうございます、と頭を下げてからご飯をいただいた。
他の同級生たちはこんなに幸せな生活をしているのかなと少し羨ましくなった。
でも、それはそれで大変なこともあるのだろうな、とぼんやり想像した。

お風呂から出て着替えをしていると、繋心さんがドアを開けた。
「あ」
「あ」
二人で声を揃えて言い、慌ててドアが閉められた。
「ごめ、なさ…!もう寝てるかと思って…!」
「鍵掛けとけよ…!!!」
「す、すみません……!!!!」
急いで着替えて出ると、ムスッとした顔で立っている。
どこか顔が赤い気がして覗き込むように見る。
「な、なんだよ…」
「いえ…お待たせしてすみません…。
お出掛けしてたんですか?」
「ジョギングしてた」
またムスッとされて少し勢いよく脱衣所の扉を閉められた。
だから顔が赤かったのかな、と納得して出ようとする。
「…部屋、待ってるから…」
ぶっきらぼうに呟かれて、そういえば約束していたなと思い出した。
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