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繫がる物語

第9章 第八話


 気が付くと、そこは、紅葉があたりを彩り、至るところから清らかで透明な水が流れだす渓流だった。

 私の斬魄刀、百合神楽の精神世界だった。

「たーっく、アンタま〜た無茶して〜!お陰で精神こっちに引きずって霊力与えるハメになったじゃな〜い!」
「あ!百合神楽!」
「やっほぉエルア!」
 声のする方を向くと、そこにはきらびやかな唐紅の着物を纏った女━━、エルアの斬魄刀の具現化した姿の百合神楽が立っていた。

「ま、アンタとこーして直に話せるってことで、その件はチャラにしてもいいけど〜」

「うーん、全快だったつもりなんだけどなぁ〜」
 エルアは頬を軽く掻きつつ苦笑を浮かべる。

 それを聞いた百合神楽は、少し考えて言った。
「むこーとここじゃあ霊子の濃さが違うんじゃない?ここ異世界だし、中々感じ取るの難しいけどさぁ」
「ふむ…あっちにいる時より霊力使うの控えたほうがいいかなぁ…」
「んー…んま、なんならこっちの戦いも覚えちゃってさぁ、やれば上手いことなるんじゃない?霊力消費抑えれるし、アンタ、ここのこと調べなきゃなんでしょ?一石二鳥じゃないか!」
 にっ、と笑いつつ百合神楽は言う。

 エルアはそれにおぉー!と目を輝かせた。
「そっか!うん、それいい!さっすが百合神楽!!」
「ふふーん、ダテにお転婆娘のお守りやってないっつーの♪」
 百合神楽は得意げにする。



 と、ふと何か思い出したようで、口を開いた。


「そういやあさ、エルア」
「ん?なに?」
 口角をつり上げ、別な意味での笑みを浮かべて百合神楽は聞いた。



「アンタ、こっちの世界でカレシ作る気ある〜?」
「ふへっ?!」
 突拍子のないことに、思わず変な声が出てしまった。
「な、なんでまた?!」

「だって、どーせいつかマユリの野郎がむこーとこっち繋ぐ道安定させるだろ?だったら、こっちの世界で作っても面白いんじゃないかってね〜!あたし、面白いこと大好きだからねぇ~♪」
 ニヤニヤしながら百合神楽は続ける。
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