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繫がる物語

第5章 第五話



「やっと見つけましたわぁ……!……にしても、これは一体どういう状況………


エルアっ!!??ジュダルちゃんも!!」

 巨大な影の主は、紅玉率いる煌帝国の空飛ぶ絨毯によるものだった。 
 そして、そこから広場を見下ろしていた紅玉は、すぐにウーゴ君に押されているエルアを見つけた。
 また、別の場所で寝かされている、ジュダルも。


 紅玉はすぐにウーゴ君が主犯だと理解したらしく、キッとウーゴ君を睨みつつ、
「……お前か…!

待っててエルア…!今すぐに助けるから…!!」
 そう言うと、紅玉は自分の髪に挿していた簪を抜き取り、言霊を唱えた。









「悲哀と隔絶の精霊よ…汝と汝の眷属に命ず…
我が魔力を糧として、我が意志に大いなる力を与えよ!
出でよ!ヴィネア!!」



 途端、紅玉を魚に似せた衣が包み、またマゼンタ色の髪の毛は、青に変色していた。
 さらに、その手には簪ではなく、見るからにして、特殊な能力を秘めているであろう、大きな剣が握られていた。



「バルバッドは霧の街…水を操る私にとっては霧も充分な攻撃材料……!」
 そう言い、紅玉が剣を振り上げると、辺り一帯、いや、広範囲から多量の霧が集まり、刃の部分を完全に水で包んだ。それも、高圧の。


「エルアから…、離れなさいっっ!!!」
「!?待って、紅玉!ウーゴ君は」
 エルアは紅玉を止めようと声をかけるも、届かず、水の刃がウーゴ君に放たれる。
 ギリギリ、ウーゴ君はそれを躱すも、的を外した水の刃がぶち当たった地面からの衝撃でエルアはバランスを崩し、倒れてしまった。

「大丈夫、エルア?!」
 ウーゴ君が距離をとった隙を見計らって、紅玉はエルアに駆け寄る。
「紅玉…ウーゴ君は…」
「大丈夫!私に任せて!私も迷宮攻略者、二人の仇、絶対取るからっ!!」
「違う…彼を殺さな…………」
 どうにかして紅玉を説得しようとするも、先ほどの戦闘から一気に力が抜けたため、意識を保てず、エルアの意識は、そこで途絶えた。
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