第1章 【1章】強運のターコイズ
自分の住む2階の正面から見て左端から。
インターホンを押して2秒後ほどに「はい。」
と声が聞こえ、きちんと立ち直す。
ドアがガチャリと言ったと思えば、「あれ。」と私の姿を確かめていなかったと思われる言動が聞こえる。
「………ここだったっけ。」
この台詞は私のもので。
何を隠そう、(今知ったのだが。)ここの部屋に住むのは私の同級生であり、このアパートが空いていると教えてくれた張本人。
赤葦京治なのだから。
「いやあ、俺の運は強いね。」
いきなり何を言い出すのかと考えながら「何が。」と自分の本音をそのまま相手に言ってしまう。
「高校から知ってる人がたくさんいるから。」
そして再び、何を隠そう(隠したつもりは無いが)私は京治と高校時代同級生だったのである。
京治の入っている部活にも京治にも興味はなかったが、大学が同じ、という共通点から大学から仲が良くなった。
京治の「知ってる人」の範囲は広い。
勿論梟谷学園高校もそうだが。梟谷グループである音駒高校。森然高校。生川高校。
そして遠い宮城からの烏野高校。
確か京治から聞いたのはここまで。
ということはその中のどこかの高校からの京治の知り合いが何人もいる、ということ。
なるほど、なんとなく読めてきた。
なんだか嫌な予感がする。