第1章 【1章】強運のターコイズ
未だ春風が吹き抜け桜が散る季節。
引越し業者のトラックを見送り、私は部屋に入ろうとした。
集まっている男女がいて、住民とは違う姿に驚き、注目される。
この後の紹介も楽か。と思いドアの前で立ち止まって
くるりと回れ右をして一言言う。
「………今日からこのアパートでお世話になります。 と申します。大学4年生です。よろしくお願いします。」
その後、ぺこりとお辞儀をしてから再びドアの方へ回れ右をする。
口元だけを笑わせて会釈をしてから部屋に入る。
大学生活も4年生になり終盤なんだから、と実家の母に言われたが、後ろからグチグチグチグチと就活や彼氏、結婚のことを言われるのは飽き飽きで仕方が無い。両親、まあほぼ母の反対を押し切り私はこのアパートに来た。
ただ、確かここは寮ではなく、ただのアパート。大学を卒業した人、他の大学の生徒もいると聞く。ただ一部屋につきの部屋数が少ないので家族連れがいない、というだけだと管理人は言っていた。
前置きはこのくらいにして、アパートの住民に挨拶をしに行こうか。