第14章 暮るる籬や群青の空
「むぁぁ~…暇だ~外に出たいぃ~」
退屈そうな乱歩の声が、旧晩香堂に響く。
其々の持ち場についてから半日が経過したが、特に動きは無く。守勢組は暇を持て余していた。
「今出たらマフィアか組合に頸をもぎり取られちまうよ。」
与謝野の言葉に、乱歩はむすっと頬を膨らませている。
「監視映像に異状は無いか。」
福沢の問いに、与謝野はパソコンを見ながら首を横に振った。
「今の処は退屈な映像ばかりだねェ。」
「この講堂は通常入口が存在せず侵入には地下の廃路線を通る他無い。故に敵兵が侵攻して来た時、路線内の監視映像によって事前にそれを知れる。」
「道中は罠も満載だしねェ。この地形で侵掠戦なんて余程の大軍隊でもなきゃ二の足を踏むさ。」
「戦争なんて退屈だよ!駄菓子の備蓄は半日で尽きたし…」
退屈そうに机に突っ伏す乱歩。
なまえと賢治はと言うと、二人で仲良く隣に座りながらしりとりをしていた。
『さつじんじけん!ん!』
「ん?ん、から始まる言葉…うーん分かりません…!流石なまえさんです!しりとりまでお強いなんて!」
『うふふ』
「(妾ァ突っ込まないよ)」
「あ!ねえなまえちゃーん!しりとりが終わったなら此れで花札やろう!」
乱歩が思いついた様に声をかければ、なまえはにやりと笑う。
『いいですねぇ…何を賭けます?』
刹那、パソコンを見た乱歩の表情が険しいものへと一変した。