第2章 『頑是ない歌』
「ねぇ、釦留めて」
「はっ!?」
「こっち操作しなきゃいけないから」
半分揶揄われているとわかりつつも、中也は釦を留めていく。しかし何時も揶揄われてばかりでは癪だ、と中也の一寸した悪戯心に火がついた。
「っ、ちゅ、うや...!?」
中也は肌蹴たシャツから覗く泰子の肌をペロリと舐め上げた。
「あ?気にせず続けろよ」
「莫迦か君は...っ!」
「泰子、顔が赤いぜ?」
先程自身が言われた台詞をそのまま返す中也を睨みつけるが、時間がないためそのまま作業を続けた。
「後で覚えてろ...っ!」
「その顔で言われても説得力無ぇよ」
そう言って臍辺りを舐め上げると、ビクッと泰子の体が跳ねる。
「ぁっ、...さっさと留めろ莫迦中也...っ!」
「手前もさっさと終わらせろ」
「もう終わるっ!」
泰子がそう言いながら少し乱暴にEnterキーを押下した。画面には"作業完了"の四文字が表示されている。
中也も残り2つだった釦を留めた。
泰子は電源を落とす前に少しパソコンを操作してから電源を落とした。
「何してたんだ?」
「起動させた事をわからないように。他にも一寸ね」
「相変わらず難しい事してんな」
「中也には一生かかっても無理ね」
「手前さっきの根に持ってんのか?」
キッと中也を睨みつけると、アイスティーで濡れたシャツの入った袋を持つと事務所の扉を開けて、店員に着替え終わった事を告げる。
すると直にオーナーが店に到着するので謝罪させて欲しいというので、二人はそのまま事務所で待つことになった。