第14章 Episode 13
「さくりん、これ、一口あげる。口開けて」
「王様プリンじゃん、いいの?環の大好物なのに」
「さくりんは、特別」
「環くん、それはどういう意味?」
環は大好物である王様プリンをスプーンで掬ってこちらに差し出してくれている。
"特別"とはどういう意味の特別なんだろう。
突然のことに戸惑っていると、同じく特別という言葉に反応したのかユキが後から顔を出す。
「さくりんはいつも優しいし、プリンも買ってくれるし、勉強も教えてくれるから!」
「そう。ならいいや。でもそれ君が使ってたスプーンだよね。それはダメだから僕が使う」
「なになに、千。環にヤキモチ?」
ユキの言葉に百くんが割って入ってくる。
そんなんじゃないから、と言うユキの顔は心なしか赤い気がする。
楽しいなぁ。こんな時間がずっと続けばいいのに。
ああ、頭がふわふわしてきた。
「え、さくら...!?」
ユキの声が遠くに聞こえる──