第14章 Episode 13
Re:valeがゼロの曲をカバーし、大成功で幕をおろしたゼロアリーナのこけら落とし。
気持ちの昂りが冷めやらぬまま、Re:vale、TRIGGER、IDOLiSH7のメンバーと各事務所の関係者が小鳥遊事務所に集まっていた。
3日間のコンサートを慰労するための打ち上げの二次会だ。
「改めて、乾杯ー!みんな、お疲れ様!」
百くんの掛け声でみんなが一斉にコップを掲げる。
一次会では関係者の目もありあまり酔えなかったため、私は今度こそ好きなだけ飲もうと、ウキウキとビールの入ったコップを持って三月と大和の元へ行こうとした。
「さくら、君はここ」
軽く腕を引かれ、コップの中のビールが波打つ。
腕を引いてきたのはユキで、少し怒ったような顔をしていた。
あれ、私何かしたっけ。
ひとまず大人しくユキの横に腰掛けると、ユキは乾杯と言いながら軽くコップを合わせる。
「で、どうしたの。ユキ」
「君ねぇ...久しぶりの再会だっていうのに、僕の元に来ようとしないってどういうつもり?」
「ずっとテレビで見てたからあんまり久しぶりって感じがしなくて」
「君はそうでも、僕は違う」
ムスッとした表情のユキは、少し子供っぽい。
こういう素直な気持ちところは相変わらずだな、と思いながら私はビールを飲み込む。
「お待たせ、今日のメインディッシュが届いたよ」
そう言って事務所に入って来たのはお兄ちゃん。
IDOLiSH7結成の頃から夢見ていた懐石弁当を持って来た。
ここまで来るのに長い道程だった、とIDOLiSH7のメンバーは感傷に浸っている。