第13章 Episode 12
「今のRe:valeが本物のRe:valeだ。胸を張って、もう迷わないで。誰より大きな声で、君たちに声援を送るよ。だから君たちも自信を持って、君たちの声を聞かせてくれ」
お兄ちゃんの言葉に、ユキと百くんが頷く。
Re:valeはもう大丈夫。
「さくら、万、今のRe:valeを見てて。百、もう大丈夫だよね」
「...っ、うん!」
最後にユキは私の涙を拭って微笑んだ。
まったく...相変わらずイケメンだなぁ。
「いってらっしゃい」
「うん。いってきます」
Re:vale、TRIGGER、IDOLiSH7のみんなはスタンバイをしにいく。
私とお兄ちゃんは関係者席からステージを見守る。
「さくら。昔言っていたよね。百くんに、ユキをよろしくって」
「百くんに聞いたの?」
「うん。それって、こうなることを予感してたの?」
「わからない。でも、なんだろう...。ユキの隣りにいる百くんが、すごくしっくりきていたのかも」
「そっか...」
それだけ話すと、ステージが始まった。
Re:valeにも内緒にしていた、TRIGGERとIDOLiSH7のRe:valeの曲のメドレー。
ユキと百くん、2人で5年間かけて作り上げていたRe:valeの結晶だ。
百くんが泣きそうになっているのが目に浮かぶ。
そして特別ユニットのステージは終わり、Re:valeの2人が登場すると、会場はより一層大きな歓声に包まれた。
テープではない、百くん自身の声が聞こえる。
「っ...、お兄ちゃん、百くん、歌えた...!歌えたよ...」
「言っただろう、大丈夫だって」
百くんの歌声に私は涙が溢れていた。
そんな私をあやすように、お兄ちゃんは頭を撫でてくれる。
もしも自分が歌えなくなったら。
考えるのも恐ろしいほどの逆境に、百くんは打ち勝ったのだ。
おめでとう。
心からの祝福の気持ちを込めて、私は拍手を送った。