第7章 Episode 6
「では、今回はこのリード曲に合わせた雰囲気で青を基調に描かせてもらいますね!」
「はい、いつもありがとうございます。よろしくお願いします!」
打ち合わせも終わり、事務所へ戻ろうとすると、扉には例の落書き。それと──
「Haruki The Betrayer...裏切り者の、ハルキ?」
IDOLiSH7の曲が桜春樹の作曲したものだとは知っていたが、何故このタイミングでこのようなことが書かれているのか。
急いで事務所へ入ると、お兄ちゃんが鳴り止まない電話の対応に追われていた。
「お兄ちゃん、代わろうか?」
「いや、いいよ。大丈夫。出た瞬間に暴言を吐かれることもあるんだ。そんなのさくらに聞かせたくない」
「わかった」
ちょうどその時、インターホンが鳴った。
紡ちゃんが玄関へ出ようとするが、一織に止められインターホン越しで対応する。
来訪者は、多くのマスコミ。
今までRe:valeにだけ向けられていた悪意が、IDOLiSH7へも向けられた。この新展開にマスコミが食いつくのも、無理はない。
「本物か偽物か知らないけど、これは立派な犯罪でしょ...」
「落書きって、犯罪なのか?」
「そうだよ、環。だから無闇に落書きとかしちゃだめだからね」
「わかった」
相変わらずマイペースな環に少し落ち着きを取り戻した。しかし、ここまでの騒ぎになってしまえば、小鳥遊事務所が何もしないというのも無理だろう。
何より、IDOLiSH7とMEZZO"の活動に支障が出てしまう。
「記者会見とか、開いた方がいいかもね」
その私の一言に、ナギが顎に手をやり考え込むような仕草を見せる。
「私、社長と話をしてきます」
そうして部屋を出て行く紡ちゃんを、少ししてナギが追っていった。
しばらくして、社長と紡ちゃんとナギが戻って来ると、記者会見を開くと告げられた。
スピーチをするのは、ナギだ。