第9章 ユメユメ

「ゴチャゴチャ言ってられんのも今だけだ。」
「それは…君がって事かな？」

余裕そうな笑みを浮かべて拳銃を構える相手。
ガキのくせに物騒なモン持ちやがって…

「なまえはどこだ？」
「ん？あそこの塔の中。あの窓が見える？」

指を差す方に目を向けると黒い塔の中央に窓がついていた。

「なまえ…」

その窓から覗く人影。
何故か服装が変わっていたが、それは驚きの表情を浮かべるなまえだった。

「ジョーカーに会わせるために少し服をね。やっぱり綺麗だねぇ。」

ニコニコとなまえの姿を見ているガキ。

「大丈夫、僕が脱がせたりはしてないよ。着替えは自分でやってもらったよ。まぁ、少し手荒にしちゃったけどね。」
「チッ…!」

盛大に舌打ちをし、また戦闘体制をとる。

「"タクト"」

近くの岩を適当にいくつか浮かせそのまま静止させる。

「僕の能力、あんまり戦闘向きじゃないんだけどっ‼」

相手は素早く岩の無い方へ逃げた。
指先で岩を操作し、逃げた方へ岩を落とす。

「へェ…便利だねぇ。」

いつのまにか背後に回っていたようで後ろを取られる。

「クソ…"シャンブルズ"」

少し遠くにある岩と自分を入れ替え相手と距離を取る。
そこで刀をふるがあっさりと太刀筋から逃れられる。

「ロー‼?」
「っなまえ‼」
後ろからなまえの声が聞こえた。
「何でっ‼?」
おれのあとに反応したのはルイ。

「どうやって出たんだ‼」
「…飛び降りたの。」
「なっ…‼」

ニコニコとしていた顔からは想像もできない怒気と焦りを孕んだ表情と顔。