第6章 女王様は#
「女王様、お気に召されることはございません。」
私の側近が慰めの台詞を言うが、心に開いた穴の蓋にはなってくれない。
レイに抱かれた夜が明け、働き蜂が巣の近くの地面を探索していた時に見つけた翅。
快感の渦の中でかろうじで見えた、彼の傷が入った翅だった。
それを戒めのように壁に飾り、産卵の時が迫った今でもこうして眺めている。
彼は何を思って命を落としたのか、悶々と時間を費やして考えずにはいられなかった。
「女王様は我が儘でこそなのですよ。いつまでもメソメソしていては、他の蜂達も心配してしまいます。さ、巣の準備ができたので行きましょう。」
「…ええ。」
同胞のために散る事を選んだ雄蜂の姿を一人一人思い浮かべ、私は産卵部屋へと自ら歩みを進めた――――――
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