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真昼の月【龍が如く×真島吾朗】

第1章 真島という男





「さぁ、行くぞ!」

腕を強引に掴まれて、無理矢理歩かされる雅美。

「本当に離して……!」

大きな声を出したいけどあまりにも混乱してうまく出せない。

それに回りの人々も見て見ぬ振りで誰も助けようとしてくれない。

男性達の言われるがまま歩かされる雅美に うっすらと涙が浮かんでいた。

誰か助けて!と心で叫んでも聞こえる人間などいるわけがない。

強引に腕を引っ張られて嫌でも足が縺れてしまうのに、
その度にしっかり歩け!と大きな声で怒鳴られる始末。

この先、自分がどうなるかなんて想像出来ないほど雅美の頭の中がパニックになった瞬間――!


ガンッ!!

鈍い音が耳の側で聞こえたと思った瞬間、隣にいた男性が前に勢いよく倒れ込んだ。

「手を離さんかい!このボケがぁあ!!」

怒鳴り声が後ろからしたと思った瞬間、
左にいた男性もいきなり背後から殴られその場に倒れ込む。

「何しやがんだ!てめぇ……!」

最初に殴られた男性が頭を押さえながら後ろへ振り返ると、
その場にいた人物を見た途端に顔色が真っ青になって、開いた口が塞がらない様子に一変した。

その変わり様に驚いた雅美も後ろへ振り返ると、
男性同様目を大きく見開いて驚いた。

「――ヤバイ!狂犬だ!殺されるぞ!!」

殴られた2人は慌てて起き上がり、流血したまま立ち上がる。

そしてそのまま逃げるように走り去ってしまった。

「ったくどこの組のやつや……。どうせ神田んとこやろ、しょうもな」

真島は血相を変えて逃げる男達に冷たい目線を浴びせ掛ける。

雅美はその横で立ち尽くしながら真島をじっと見上げていた。

「大丈夫…やったか?怪我とかせぇへん……かったか?」

真島を見つめる雅美に無理に笑顔を作って声をかける。

だがその表情は明らかにおかしく、何故か息が荒くて若干顔色も悪い。

「真島さん、汗かいてる……?」

頬に汗が滲み、その笑顔も辛そうだ。

「柄本んとこ…の注射が漸くきぃてきたみたいやな……」

心配そうに隣で見つめる雅美をよそに、クックックッと不敵な笑みを浮かべ小さく呟く真島。



その瞬間、
真島は膝が落ちてその場に倒れてしまった。
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