第2章 「繋がるということ」
僕らの知らない唇を合わせるその行為を
彼女は【キス】と言った_______________
「コレクト開始」
叫竜に襲われたあの日、中止となった入隊の儀の続きが
極小規模で行われた。
そこにはもうパパやオトナ達の姿は無かった…
「…ヒロ、ストレリチアに乗った記憶無いの?」
「うん…でも、信じてるんだ。
あれは本当に起きた事で僕は自分の力で乗れたんだって」
ヒロの瞳は前の濁った様な目ではなく、
透き通っていたように私はそう感じた。
「にゃにゃーん、お前はこの辺の子かにゃーん♪」
ヒロと一緒に宿舎に戻ると、イチゴと猫が戯れてる姿が見えた。
「イチゴ?」
「ヒ、ヒロ…ゼロも!!」
「態々出迎えしなくてもいいのに…」
「朝っぱらから勝手に居なくなるのが悪いんじゃん!
居づらくても、ヒロはここに残る事になったんだから堂々としてればいいんだよ。」
「うん、私もイチゴと同じ意見だよ。」
「ほら、ゼロだってこう言ってるんだから!
…ナオミ無事だったんだね。病院に運ばれたんだってさ」
「…うん、聞いた。」
ヒロはナオミとの件が気まずいのか、
宿舎の中に急いで入ろうとしていた。
「あのフランクス、ヒロが動かしてたの?」
「…よく覚えてない、だからもう一度乗って確かめたいんだ。」
「もう一度って、あの子うちの隊員の所属じゃないんだよ!?」
「気にしない。乗れればそれでいいよ」
確か、あの少女はゾロメが言ってた例のパートナー殺しって
言ってたような…?
「(そうには見えなかったんだけどなぁ…)」
「あの子のパートナーは3回以上乗れる事が無いって…
無事じゃ済まなかったって!!
本当かどうかは分からないけど、あの子と関わるのは辞めた方が
いいと思う。」
イチゴの気持ちは、私もゴローもよく分かると思う
私達は大切な幼馴染が死んで欲しくないから。